2011年3月11日、14時46分。
その日の事はとてもよく覚えています。
僕は新宿のスタジオで振付をしていました。
正確には、振付をする前に、アシスタントと2人で振付を作っていたんですね。
出演者が来るのが15時。
そろそろ仕上げに入ろうとしたその時です。
スタジオの隅の方で、『ガタン!』と音がしました。
その直後に大きな揺れが起こったんです。
『すぐに終わるだろう』
そう思っていましたが、揺れは大きくなるばかり。
『ヤバいな』
なんとなくそんな気がして、僕はスタジオの外に出ました。
するとそこで、僕はとんでもないものを目にしたんです。
踊るビル!
外に出た僕たちの目の前に、20階建てくらいの大きなビルが2棟立っていました。
そのビルが、まるで踊っているかのように揺れていたんです。
コンクリートでできたビルが、まるで羊羹のように柔らかく見えました。
『とんでもない事が起こっている』
そう直感しましたね。
それと同時に、『今日は振付できないんじゃないかな?』とも思いました。
これだけ大きな地震が起こると、電車は止まってしまいます。
誰もスタジオに来る事ができなくなるんですね。
『ダメもと』で待っていると、15時を少し過ぎた頃『おはようございます!遅れてすみません!』と出演者がやって来たんです。
『よく来れましたね?』
なんとスタジオが近かった為に、自転車で来たそうです。
『いや〜良かった!』
振付が始まりました。
その時には、地震のことはすっかり忘れていました。
まるで映画のようでした、、。
振付が終わって、僕は家に帰りました。
帰る途中なんとなくガソリンスタンドに寄ったんです。
『地震すごかったですね!』
『揺れましたね〜』
給油中にそんな話をしていましたが、さほど『大きな出来事』だとは思っていませんでした。
その後家に帰ると、部屋に置いてある小さなスピーカーが倒れていました。
『ああ、結構揺れたのかな』
しかしそれ以外は何の被害も無かったので、それで終わりだと思っていました。
テレビを見るまでは、、。
お風呂上がりにテレビをつけて、僕は愕然としました。
『なんて事だ』
電車が止まり、駅から溢れた人たち。
歩いてい家に向かっているであろう、『帰宅難民』の人たち。
コンビニからは食料が消え、街は人で溢れかえっていました。
まるで映画のCGのような大洪水が街を襲い、家が流されていました。
まさに『悪夢』そのものでした。
あれから10年。
いまだに復興は終わっていません。
『今何が出来るのか?』
改めてもう一度考えなくてはいけませんね。