今から14年前の冬、僕はテレビ番組の企画でサンタクロースの世界大会に出場する為、スウェーデンに行きました。
まあ、寒かったですよ!
それでも現地の人は『今年は暖かいからオーロラは見られない』と残念がっていました。
サンタの世界大会は、10ヵ国から10人の挑戦者が集まります。
4つの競技があり、その総合点で世界一が決定します。
実は僕、その大会で優勝したんです。
2006年サンタオブイヤーをいただきました。
でも、今回はその話ではないんです。
たくさんのサンタ!
世界大会の前日、各国から集まったサンタたちは、ある場所に集合しました。
そこは、国立がんセンター。
クリスマスを病院で過ごさなければならない子供たちにの為にサンタが遊びに来るというイベントで、僕たちは各部屋を訪問し、子供たちと話をしたり、一緒に写真を撮ったりと楽しい時間を過ごしていました。
スウェーデンでは、サンタを見つけると子供たちはプレゼントをくれます。
あれ?逆じゃないのかな?と思いますよね。
ちなみに、プレゼントの中には何も入っていません。
子供たちの『気持ち』が入っているらしいです。
サンタに手紙を渡している子もいました。
たぶん、サンタに叶えてもらいたい願い事が書いてあるのでしょう。
叶えてあげたい!
僕の前に、小学二年生くらいの女の子がいました。
マスクをしてニット帽をかぶっていました。
僕は『ハロー』と声をかけました。
スウェーデン語じゃないから伝わらないかな?と思っていましたが、彼女は恥ずかしそうに、『ハーイ』と答えてくれました。
何を話していいか分からず黙っていると、その子は僕に手紙をくれました。
小さく折り畳んである手紙を開けると、スウェーデン語で何か書いてありました。
通訳の人に見てもらったら、その人は黙ってしまい、しばらくして僕にこう言いました。
『大人になりたい』
目の奥が熱くなっていくのが分かりました。
彼女の病状がどのくらいのものなのかは分かりません。
ただ、軽くない事はなんとなく分かります。
僕たちには当たり前の事が、彼女にとっては『夢』なんです。
普通である事が奇跡なんだと、その時気づきました。
『何もしてあげられない』
虚しさが込み上げる中、僕たちは病院をあとにしました。
今世界中に未曾有の事態が起きています。
とても大変だと思います。
頑張りましょう!
マイナスをゼロへ!
『普通』に戻るまで、耐えましょうね!