僕は小学生の頃から、歌手になる事が夢でした。
リズム感を養う為にダンスを始め、そのダンスが面白くなり、いつの間にかダンサーになっていました。
20才の頃、縁あってソニーに入ることになりました。
歌手を目指し、日々レッスンに明け暮れていました。
当時のプロデューサーは少し変わった人で、『当たり前がつまらない』と言っていました。
僕はわりと器用な方で、よく『器用貧乏』と言われていました。
何でもすぐにできるけど、それが身にならない。
ネガティブなイメージの『器用貧乏』を、そのプロデューサーは面白がってくれました。
『いいね、できる事を何でもやろうよ』
ギターを弾きながらタップを踊る。
さらにそのまま歌ってみる。
そんな試行錯誤の日々が続く中、ある時プロデューサーからこう言われました。
『人の背中を押してみる気はないかい?』
この言葉が、僕の人生を変える事になったんです。
充実感!
僕がいる部署は、『新人の発掘と育成』を行っている所でした。
『そこに来る新人やアイドルにダンスを教えてみないか?』と言われたんです。
僕は『あぁ、僕はもう歌手としてはダメなんだな』と思いました。
それを察したプロデューサーは、『人の背中を押してみなさい、何か気付く事があるよ』と言ってくれました。
その日から僕はスタッフ側にまわり、ダンスを教える事になりました。
振付師になったのもこの頃です。
自分が教えた生徒が、僕の振付でテレビに出る。
それを見た時、なんとも言えない『充実感』を感じました。
『これか!』
僕は『人の背中を押す』仕事を続ける事にしました。
今思う事!
20才の時、プロデューサーの言葉を無視し、人の背中を押していなかったら、今の僕はいないと思います。
僕がおやじダンサーズを作った頃は、たくさんの人たちに背中を押してもらいました。
本当にありがたい事です。
『背中を押す』
『手伝う』とは違った、温かみのある言葉。
とても大切にしています。
誰かの背中を押した事がありますか?
誰かに背中を押してもらった事はありますか?
誰でも経験があると思います。
その事に気づき、感謝しながら毎日を過ごしてみると、心が温かくなるんです。