オリンピックの金メダリストのコーチは、金メダルを持っていない事が多い。
という事は、『自分は出来なくても教える事はできる』という事になります。
それはなぜなのか?
ダンスの世界では、そういう事はあまりないですね。
先生の方が上手なのは当たり前で、生徒は先生に追いつくために頑張って練習をします。
では、もし生徒が先生を超えたらどうなるのでしょうか?
ダンスの世界では、それは独立を意味します。
先生から離れ、自分のスタジオを開く人もいるでしょうし、海外に行き、さらにスキルアップを狙う人もいるでしょう。
食の世界では暖簾分け(のれんわけ)といい、やはり自分のお店を持って独立する人が多いのではないでしょうか?
どちらの場合も、師匠と離れることになるわけです。
しかし、アスリートの場合は違います。
どうして自分よりスキルが高いアスリートをコーチする事ができるのでしょうか?
それは、『仕組み』を知っているからではないでしょうか?
勝つために必要な事。
人間の身体や精神を科学的にデータ化し、アスリートをアップデートする。
効率の良い練習方法を生み出し、成果を出す。
そういう特殊なスキルを持っているからこそ、アスリートが信頼して自分を任せる事ができるのでしょう。
僕も金メダルは持っていない!
そう考えた時、もしかしたら振付師とダンサーの関係に近いのかもしれないと思いました。
ボクは自分よりスキルが高い人を振付する事があります。
『僕には出来ないけど、みんなはできるでしょ?』というワードを何度か口にした事があるからです。
難しいダンスは踊れませんが、難しいダンスを作る事はできます。
僕は振付を考える時、頭の中で考えます。
で、実際に踊ってみて、できる事とできないことを確かめます。
少しづつ細かい修正をして、完成に近づいていく工程が楽しいんですよね!
後で自分で踊ろうとしたら、とんでもなく難しかったりすると、ダンサーって凄いな〜と思います。
義務教育でダンスが必須
になっていますが、この『オリンピック論』でいけば、学校の先生がダンスを教えられる事になります。
自分は踊れなくても、仕組みを理解していれば生徒を踊らせる事ができるはずです。
生徒は先生の知識を信頼し、全てを任せてダンスの練習をする。
そういう授業をしてくれる学校が増えるといいですね。