歌手になりたくてSONYに入った頃、プロデューサーに『君は70点だ』と言われました。
『どういう意味だろう?』と思いましたね。
そうしたら、『君は普通なんだよ。普通だとこの世界ではダメなんだ、覚えてもらえないからね』と言われた事がありました。
『普通』
当時は中肉中背だったし、歌とダンスが飛び抜けて上手だというわけではありませんでした。
で、名前が『鈴木寛』(すずきひろし)
まあ、普通ですよね(^^)
『普通はダメ』の意味がしばらくはわかりませんでした。
テレビを見ると、歌手の人が歌を唄っています。
僕にはそれが『普通』に見えたんですが、そうではなかったんですね。
何かしらの『売り』があったんです。
僕が好きだったのは、西城秀樹さん。
はだけた胸元にはカミソリのネックレス。
服は破けていて、髪は濡れていました。
確かに普通ではないですね。
沢田研二さんは化粧をして、バーボン片手に唄っていました。
そう、当時の芸能界は、どこか『突き抜けて』いたんです。
太り始めて!
歌手に憧れながらダンスの仕事をしていました。
振付、演出、作曲。
それなりに忙しかったですよ。
充実感もありました。
そのせいか、だんだん太ってきたんです。
気がつけば100キロに!
もうダメですよね、歌手になるのは。
そう諦めていた頃、振付の仕事を貰いました。
ウルフルズの『それが答えだ』という曲です。
プロモーションビデオの監督は、『鈴木さん、100キロあるのに踊れるの?普通じゃないね!』と言っていました。
『えっ、普通じゃない!?』
その日から僕は、『ちょっと変わった振付師』と呼ばれるようになったんです。
脱、普通!
それから数年たって、ちょっと変わった振付師は、かなり変わったダンスチームを作りました。
それが、『おやじダンサーズ』です。
名前も、『鈴木寛』から『パパイヤ鈴木』へ。
当時SONYにいたプロデューサーにも会いましたよ。
『良かったね!』と言ってくれました。
今は普通じゃない事が普通になっているので、何が普通なのかがよくわかります。
気がつけば、僕の周りには変わった人が多いですね。
類は友を呼ぶのでしょうか。
目指すは『自然に不自然』ですね!