以前テレビ番組でベトナムに行きました。
首都ハノイから車で二時間、そこから船で一時間。
着いた場所は、『ナムディン』という所。
お世辞にも清潔な場所とは言えない所でした。
僕はこう見えても、プチ潔癖症なんです(^^)
東京で生まれ育った僕には、かなりツラいロケになりそうだと思っていました。
ただ、ガス・水道・電気はちゃんとありましたよ。
ナムディンはかなり蒸し暑く、少し外に出ただけで滝のような汗をかきました。
日本だと、家に帰れば『ちょっとシャワーでも浴びようか』となりますが、そうはいきません。
シャワーはもちろん無く、お風呂もありません。
濡らしたタオルで身体を拭くのが、お風呂の代わりです。
『終わった』
愕然としながらも、『何か良い事があるはずだ』と自分に言い聞かせました。
昼から宴会!
ナムディンの人はみんな早起きで、朝5時にはサイレンのようなものが鳴り、何かの放送が始まります。
それが終わると朝ごはん。
ベトナム料理ですよ。
そして、みんな朝からお酒を飲むんです。
酒好きの僕としてはかなり嬉しかったです。
『ホラ、良い事あるじゃん!』と思いましたね。
撮影初日の朝は、『日本のテレビ番組が来た』という事で、親戚も集まって宴会になりました。
棚には30個くらいのガラスの酒樽があって、そこに色々なものが漬けてありました。
その『漬けて』あるものが凄いんです。
蜂だったり蛇だったり。。
その中から、一番人気のお酒を注いでくれました。
何やら黒いものが漬けてあって『これ何?』と聞いても『いいから飲んでみな』と。
味は美味しかったです。
何杯か飲んで、すっかりいい気分。
『さっきのアレは何?』と聞くと、『あれはカラスだよ』
『カラス漬け』が一番人気らしいです。
始めはビックリしましたが、だんだん慣れて色々なお酒をいただきました。
泣きましたよ!
ナムディンの滞在は一週間。
その間、一度もお風呂に入っていません。
靴を履かずそのまま家に入るので、布団も砂だらけでした。
身体も頭もベタベタで、蚊に刺された所は赤く腫れ上がり、『痒い』ではなく『痛い』という感じ。
部屋には名前のわからない虫がたくさんいました。
ご飯を食べる時も、団扇のようなものでハエを避けながら食べます。
慣れない僕らには、まさに『地獄』でした。
そういう環境でも、現地の人は楽しそうにしています。
それが『当たり前』だからです。
僕もだんだん慣れてきて、数日もすれば何も気にならなくなりました。
身体のベタベタも、部屋に虫がいるのも当たり前になっていました。
撮影が終わり日本に帰る日、感謝の言葉を伝えると、彼らは大きな声で僕にこう言いました。
『バッカドゥードゥー、モータイマーゾー!』
(パパイヤさん、かんぱーい!)
泣きましたね。
本当に優しい人たちでした。
あれから12年。
みんなどうしてるのかな?
またいつか会えると嬉しいんですけどね。